「情報科学基礎」各章の概要 情報科学
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各章の概要
1. 情報と情報の表現

■本章の概要

 この章では、情報と情報科学との位置づけを確認下うえで、私たちが日常よく使っている「情報」という用語はどのような意味をもつのかについて考えます。また、情報と比較される用語の「データ」や「知識」について、その違いを取り上げます。さらに、コンピュータにおけるデータや情報の表現のしかたについておさえます。最後に、情報の伝達をコミュニケーションの視点からとらえるコミュニケーションメディアについて取り上げます。

■学習目標
  ● 情報とはなにかを説明できる
  ● データ、情報、知識の違いを説明できる
  ● アナログとディジタルの違いを説明できる
  ● A-D変換とD-A変換を説明できる
  ● 2進数・10進数・16進数の値の表現方法と相互変換を説明できる
  ● 整数や実数の表現方法を説明できる
  ● 文字や画像の表現方法を説明できる
  ● 誤り検出方式のうちパリティチェック、チェックサムおよびCRCチェックを説明できる
  ● 情報量の表現方法を説明できる
  ● コミュニケーションの意味について説明できる
  ● コミュニケーションメディアの種類について説明できる
2. コンピュータの技術とハードウェア

■本章の概要
 コンピュータは、情報科学の主要な分野を占める情報技術(IT)の中心となります。この章では、はじめに情報技術と情報システムの意味を確認し、コンピュータの歴史について取り上げます。つぎに、暑気のコンピュータ技術の発展とコンピュータ素子の発展を確認したうえで、コンピュータの構成要素と入出力関連技術を取り上げます。さらに、コンピュータの演算や制御の基本的な考えである論理演算についておさえたうえで、コンピュータに命令を与える機械語の基本について取り上げます。なお、ソフトウェアとデータベースについては3章で扱います。

■学習目標
  ● 情報システムとはなにかについて説明できる
  ● コンピュータとはなにかについて説明できる
  ● コンピュータの歴史について説明できる
  ● 初期のコンピュータ技術について説明できる
  ● コンピュータのハードウェアの構成要素について説明できる
  ● コンピュータ素子の発展について説明できる
  ● 入出力インタフェースの種類と特徴について説明できる
  ● パソコンの発展について説明できる
  ● 
論理演算の種類と論理式・論理記号を説明できる
  ● 命令語としての機械語の動きについて説明できる
3. ソフトウェアとデータベース

■本章の概要
 この章ではまず、ソフトウェアの種類とアルゴリズムについて取り上げます。つぎに、アルゴリズムをコンピュータの命令語で書きあらわすプログラミング言語についてみたうえで、プログラムの構造化設計、プログラミング技術の構造化プログラミング技法と、オブジェクト指向プログラミング技法について説明します。その後、ソフトウェア分野の各種技術者について取り上げます。最後に複数のプログラムが扱うデータを一元管理する疑念であるデータベースについて説明します。
 なお、「ソフトウェア開発」については、5章で「システム開発」に含めて取り上げます。

■学習目標
  ● ソフトウェアとはなにかを説明でき、その種類をあげることができる
  ● アルゴリズムとはなにかを説明できる
  ● プログラミングとはなにかを説明できる
  ● プログラミング言語の種類と特徴について説明できる
  ● 構造化設計の特徴について説明できる
  ● 構造化プログラミング技法の特徴について説明できる
  ● オブジェクト指向プログラミング技法の特徴について説明できる
  ● ソフトウェア分野に関連する技術者について説明できる
  ● データベースで取り扱うデータモデルの種類を説明できる
  ● リレーショナルデータベースの正規化について説明できる
  ● スキーマの種類について説明できる
4. ネットワーク

■本章の概要
 この章では、われわれがよく使うスマートフォンや固定電話の通信ネットワークや、コンピュータ同士を接続したコンピュータネットワークについて取り上げます。コンピュータネットワークは、わずか数台が接続されたものから、インターネットのように世界中の莫大な数のコンピュータが接続されたものまで各種あります。
 はじめにネットワークの種類について取り上げます。つぎに、ネットワークの基礎的な技術であるLANやTCP/IPについて説明します。最後にインターネットに関して、そこで使われる基礎技術や応用技術について取り上げます。

■学習目標
  ● ネットワークを種類わけする4つの視点を説明できる
  ● WANとLANの違いについて説明できる
  ● ネットワークの接続形態の違いについて説明できる
  ● ネットワーク回線の使用形態の違いについて説明できる
  ● モバイル端末の特徴について説明できる
  ● LANの制御方式の種類について説明できる
  ● 無線LANの特徴について説明できる
  ● ネットワークアーキテクチャとOSIの特徴について説明できる
  ● TCP/IPの特徴について説明できる
  ● IPアドレスのクラスレスアドレスについて説明できる
  ● インターネットのブラウザやURLなどの基礎技術について説明できる
  ● インターネット上のポータルサイトなどの応用技術について説明できる

5. 情報システムの開発と活用

■本章の概要
 私たちの生活は情報技術とその応用である情報システムの恩恵なしでは成り立たないほど、情報システムは日々野生活に浸透しています。ビジネスの世界でも規模の大小にかかわらず、情報システムの利用が必要不可欠となっています。
しかし、情報システムは使い方を間違えると、電子の速度で混乱を招くこともあるのです。
 この章では、情報システムをどのように開発するのか、そしてビジネスの分野でどのように活用したらよいのかについて取り上げます。情報システムの開発では、システム開発のモデルを説明します。情報システムの活用では、情報システムの変遷について説明したうえで、ビジネスを支援する各種情報システムの特徴について取り上げます。最後にインターネット利用のビジネスである電子商取引について取り上げます。

■学習目標
  ● 情報システムの開発モデルの種類と特徴について説明できる
  ● 情報システムの変遷について説明できる
  ● 業務システムの種類と特徴を説明できる
  ● 統合業務システム(ERP)の特徴について説明できる
  ● 顧客サービスシステムの特徴について説明できる
  ● ネットワークシステムの種類について説明できる
  ● 電子商取引の種類と特徴を説明できる
  ● 電子商取引を利活用する際の基本的な留意点を説明できるきる
6. セキュリティと情報倫理

■本章の概要
 インターネット経由で世界中の情報が自由に行き交う現代では、広く行き渡らせたい情報と守らなければならない情報を適切に管理する難しさを抱えています。また毎年のように、世界中で情報漏洩や情報システムへの攻撃などが発生しています。
 この章では、企業がもつ情報資産のセキュリティを取り上げます。情報セキュリティを維持・管理するための方針である情報セキュリティポリシーや、情報セキュリティの国際標準も扱います。また、セキュリティ違反をおこさないようにするための法制度や個人が人間として守らなければならない情報倫理などについても取り上げます。

■学習目標
  ● 情報資産に対する脅威と脆弱性の関係について説明できる
  ● 情報セキュリティポリシーの構造と特徴について説明できる
  ● 情報資産のリスク値の分析方法ついて説明できる
  ● セキュリティ対策で考慮すべきアクセス権について説明できる
  ● 暗号化技術の種類と特徴について説明できる
  ● コンピュータウイルスの種類と特徴について説明できる
  ● 情報セキュリティ関連の主要な国際標準について説明できる
  ● 情報セキュリティ関連の主要な法律について説明できる
  ● 情報を活用する際の情報倫理の特徴について説明できる
  ● 情報を利用する際に考慮すべき著作権について説明できる
  ● 個人情報保護の特徴について説明できる
索引
参考文献

1. 情報と情報の表現

「基礎」
[1]川合慧編『情報』東京大学出版会, 2006
[2]趙華安『コンピュータとネットワーク概論』共立出版,2005
[3]森川信男『コンピュータとコミュニケーション』学文社, 2006
「応用」
[1]加藤一郎・他『東京大学公開講座13:情報』東京大学出版会, 1971
[2]野村由司彦『図解 情報理論入門』コロナ社, 1998
[3]末田清子・他『コミュニケーション学 その展望と視点』松柏社, 2003

2. コンピュータの技術とハードウェア

「基礎」
[1]小松原実『コンピュータと情報の科学』ムイスリ出版, 2005
[2]TAC編『ここからはじまるコンピュータの世界 基本知識編』TAC出版, 2005
[3]並木秀明『ゼロからわかる デジタル回路超入門』技術評論社, 2007
「応用」
[1]橋本洋志・他『図解 コンピュータ概論 ハードウェア』オーム社, 2004
[2]川合慧、監修『情報とコンピューティング』オーム社, 2004
[3]横山保『コンピュータの歴史』中央経済社, 1995

3. ソフトウェアとデータベース

「基礎」
[1]半澤孝雄『はじめて学ぶ情報処理入門』オーム社, 2001
[2]伏見正則『最新 情報システムの開発』実教出版,2006
[3]高橋栄司・飯室美起『基礎からのデータベース設計』ソフトバンク パブリッシング, 2002
「応用」
[1]SCS出版局編『新版 アルゴリズムとデータ構造』電子開発学園出版局, 2007
[2]手島歩三・他『概念データモデルによるソフトウェアのダウンサイジング』日本能率協会マネジメントセンター, 1994
[3]大木健一『データベース』アイテック, 2007

4. ネットワーク

「基礎」
[1]三上信男『ネットワーク超入門講座』ソフトバンククリエイティブ, 2010
[2]川崎克巳『Webネット技術の基本と常識』秀和システム, 2010
[3]小泉修『Web大全:図解で理解 進化のすべて』自由国民社, 2007
「応用」
[1]長谷和幸『ネットワーク技術 第8版』アイテック,2008
[2]NTTコミュニケーションズ編『NTTコミュニケーションズ インターネット検定.com Master★★2010公式テキスト』NTT出版, 2010
[3]山本陽平『Webを支える技術』技術評論社, 2010

5. 情報システムの開発と活用

「基礎」
[1]高橋直久・丸山勝久『ソフトウェア高額』森北出版,2010
[2]神沼靖子・浦昭二 共編『情報社会を理解するためのキーワード3:情報システムの企画・設計・運用』倍風館,2003
[3]幡鎌博『eビジネスの教科書 第3版』創成社, 2010
「応用」
[1]北村充晴『上流・下流工程から改善・監査までわかるシステム開発のすべて』日本実業出版社,2008
[2]情報処理推進機構 編『SEC BOOKS 共通フレーム2007』オーム社,2007
[3]手島歩三・根来龍之・杉野周編著『ERPとビジネス改革―統合業務パッケージ活用の誤解と指針』日科技連出版社, 1998

6. セキュリティと情報倫理
「基礎」
[1]相戸浩志『よくわかる最新情報セキュリティの基本と仕組み 第3版』秀和システム, 2010
[2]情報処理推進機構 編『情報セキュリティ読本 四訂版』実教出版, 2009
[3]小島正美『インターネット社会の情報リテラシー 情報倫理を学ぶ』ムイスリ出版, 2010
「応用」
[1]情報処理推進機構 編『情報セキュリティ教本 改訂版』実教出版, 2009
[2]森信一・他『セキュリティポリシーの考え方』エスシーシー, 2001
[3]税所哲郎『情報セキュリティ・マネジメントの導入と展開』関東学院大学出版局, 2006

榮枝